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日本人はどうも「卒業」という概念が大好きなようです。
前回の記事でも触れましたが、ダメな組織の経営層・上位層はおそらく現場を「卒業」していると思っていることが多い印象。
さんざん若い頃現場で苦労してきた。出世した今、もう現場業務は下の者に任せる。自分は卒業。
こういうマインドです。現場を下に任せるのはいいのですが、現場で何が起きているか、どのような問題があるかすら無関心になっているようです。それは自分が「卒業」していると思っているから。
それで現場改善はできませんね。組織改革は上位層の仕事なのですから。
同じような話で、多くの社会人は「勉強は学生の頃散々(?)してきた。だから卒業。社会人になったらもう勉強しない」と思っているのではないでしょうか笑。
かなり乱暴な言い方になるかもしれませんが、「社会人は本当に勉強していない」というのが、これまでの社会人経験で得た私の印象です。
もちろんやっている人はやっています。それはよく理解しています。
しかし、大多数は本当にやっていない。
それなりに専門的な業務をやっているにもかかわらず、その勉強をすることも、業務に関係する資格を取ることもほとんどない。
そういう印象です。
私の過去の経験では、例えば融資業務をしていた時。
当然決算書を見ますので、簿記(どのレベルかは意見が分かれるでしょうけど私は融資業務をするのであれば2級はマストだと思います)、それから財務諸表、資金繰り分析。このあたりはマストでしょう。
そしてさらに必要なのが、税務の知識。中小企業は本格的な会計基準は不要であり、法人税法に即した簡便的な処理をしています。その結果、「減価償却不足」はもちろん「現金過大計上」「棚卸資産過大計上」のような問題も起こります(ストレートに言えば粉飾です笑)。融資を行うのであればこのような問題がなぜ起こるのかの理解も大事になってくる。
しかしこれらを勉強している人は非常に少ない印象でした(やっている人はもちろんやっていましたが)。
上記の通り、やはり「勉強は卒業」と思っている人が多かった印象です。
他にも理由はあって、会社が「この業務にはこれが必要。だからこれを勉強すべき」という「業務に必要な知識の体系化」をしていない。業務の定義がなんだかもやっとした状態のままで、従業員に取り組ませている。だから従業員も勝手な解釈をして、ある人は必要と思われるスキルを自分で身に付けている、別の人はまったく知識がないのにこれまでの経験で何とかなると思っている。
その結果、人によってレベルがてんでバラバラ。日本の職場では多かれ少なかれこのような状況になっているのではないでしょうか。
ある人はろくな財務知識もないのにパワープレイでガンガン融資を通し、ノルマは達成するも後から大事故、のようなことが割と頻繁でした。
まあ仕事というのは勉強だけじゃなく勢いとパワーで押すべき時があり、ノルマ達成のために理論を曲げざるを得ない時もあります笑。それは間違いない。とはいえ、この例でいえば財務知識のない状態でガンガン案件を進めるなどいつか大事故。審査部からしたらいい迷惑笑。
そういう人はそもそも知識が無いので、ロジックが弱く話ができません。
こういう過去の経験と勢いだけで、仕事が出来る時代は終わったと思います。コロナや紛争でこれまでの常識が覆されることが当たり前の時代になり、過去の成功体験がますます使いづらくなってきていると思います。
そんな時代、やはり過去の成功体験や社内ルールではなく、世間一般の普遍的なルール、知識を身に付けておく必要があります。
仕事に関係する勉強は間違いなくやった方がいいです。関係する資格はどんどん取るべきでしょう。そして自分の中でロジックを作り上げていく。
仕事の仕方として、そっちの方が楽しくありませんか?笑。知識なく経験だけでガンガン行くような人が幅を利かせているということは、結局長く在籍している人が強くなりがちな組織ということですよね。
ちなみに私が最初の会社に在籍時、心から残念だと思ったエピソードがあります。
自分が取り組んだ融資案件の事例を社内イントラで発表する、という企画がありました。私はある会社の紹介として「A社は原価の低減に取り組んでいる」といったことを書きました。
そうしたところ、統括する部門から「待った」がかかりました。なぜかというと「原価」という言葉は誰も知らないから使うな、と。笑
若干驚きましたが、さすがに製造業の紹介だし「原価」くらい使ってもいいじゃないか、と抗議したのですが、今度は「知識をひけらかすな」というニュアンスのお叱りを受けたのです…笑。
これは極端すぎる例かもしれませんが、日本の組織は「勉強しなくてもいい」という層が一定以上います。 若い世代はそんな「非常識」に染まらないようにしましょう!社会人も勉強は大事です!
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