ダメな組織は「変えない」「変わらない」-10代・20代への「提言」⑯-

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私が大手監査法人に勤務していたころ、グローバル展開する大企業の担当になりました。その会社の監査をするのは、最初は大変でしたが、慣れてくると本当に楽しくなりました。何が楽しいかって、毎年のように会社の海外出張のお供をすることができることです。

監査法人のメンバーは、例えば内部監査室が海外子会社の監査をするときに、一緒について行って、そこで現地の様子を見たりします。

欧州アメリカ東南アジア等色々な国に行くことが出来ましたが、毎年のように行っていたのは中国でした。その会社は中国に非常に大きな工場を持っていたので、その拠点を毎年訪問していたのです。

驚いたのが、毎年のようにオペレーションが「改善」されていること。

日本から工程改善コンサルタントを招いたり従業員が自作でピッキングマシーンを作ったり、とにかく現場の効率がよくなれば何でもする、という雰囲気を感じました。毎年行くたびに業務効率が良くなっているように見えました

少なくともその中国現地法人で私が接した中間管理職以上の人からは、組織や業務をよりよいものに変えていこうとする雰囲気を感じました(コミュニケーションは日本語で行いました。日本語が堪能な人が非常に多かったです)。

もしかしたらかつての日本も、同じように現場で従業員が一丸となって「カイゼン」に取り組む雰囲気があったのかもしれません。

一方、過去自分が所属した組織3社を振り返ってみると、本当に見事に、どこも「オペレーションを変えていこう」「業務効率を改善しよう」という雰囲気に乏しかったように思います。

毎年毎年、全く同じことをやりたがっているように見えました。私を含めた全員が非効率な業務を行い、文句を言いながら長時間労働をしていました笑。

変えるときがあるとすれば、規制や制度改革があってやむを得ず変えなければいけないとき。監査法人であればアメリカ「総本山」からの「通達」があったとき。

こういう「外圧」があったときは不思議とあっさりやり方を変えるのですが(いきなり変えるので必ず混乱が生じる)、自ら変えようという意識がほぼ無かったような気がします。特に管理職において。

最近お邪魔しているある小規模の会社も、本当に意地でもオペレーションを変えようとしません笑。ちょっと見るだけで問題だらけというのがわかるのですが。

事務のスピードが異常に遅いわ、顧客からのクレームを放置するわ、職務分担は適当だわ、若手はすぐ退職するわ…。こういう状態が2年くらい継続しています。

現場・管理職共にあまりにも忙しく、問題を把握し、分析し、変える、ということをする余裕が全くないのです。

しかし一方で、管理職・現場人員共に、どうも「忙しく仕事をしている」という状態に満足しているようにも見えます。つまり文句を言いながらも変わらない現状を受け入れているのです。おそらく変えるのが面倒なのでしょう。

改善・工夫をするには、まず現状を否定することから始めなければいけません。

今、あまりにも忙しく、残業も膨大になり、職場のオペレーションに不平があるのであれば、その原因は何かということを組織的に考えることから始めなければなりません。

しかし不思議なことに、ダメな組織は「原因を調査する」「考える」ということを、なぜかしません。

その原因の一端は間違いなくトップや管理者層にあります。末端が考えて業務フローを改善することなどできない、という雰囲気を職場のトップが作り出しているのです。

その根底に、今のビジネスを変えなくてもいいし、今のフローを変えなくてもいい、というダメな発想があります。

「今のままで何の問題もない」と思っている管理者層が本当に多い。この現状維持バイアスが、日本が成長できない一因であると思っています。

先の中国の例を見るまでもなく、世界はIT技術の進展とともにすさまじい勢いで進歩しています。この状況で「ビジネスを変えなくてもよい」「現場フローを変えなくてもよい」と思っているのではむしろ成長どころか後退してしまいます。

仮に現状上手く行っているとしても、さらにオペレーションを改善できないか、ビジネスをより良いものに変えることが出来ないか、組織全体で考え続けることが、思考停止しない組織につながるのだと思います。

若い方はこれから伝統的な組織に入ると、古いやり方を変えない事例にいくらでも出くわすと思います。しかしその考えには絶対に染まらず、少しずつでもいいので「変える」という方向に持っていってほしいと思います!

まとめ

  • うまくいっていても「ビジネスを変えなくてもよい」「現場フローを変えなくてもよい」という発想はNG
  • 常に「オペレーションを改善できないか、ビジネスをより良いものに変えることが出来ないか」考え続けないと、思考停止したつまらない組織になってしまう

つづく